防犯フィルムは意味ない?!A3サイズ防犯フィルムの選び方とDIYの注意点。
防犯フィルムは、窓ガラスを強化することで、空き巣や強盗などの侵入被害を防ぐための対策商品です。窓ガラスに貼り付けることで、ガラスの割れにくさを向上させ、侵入手口の代表例である「ガラス破り」を困難にします。
近年は、3,000円程度で購入できるA3サイズの防犯フィルムも多数販売されていますが、果たして十分な防犯効果があるのでしょうか。この記事では、どのような商品を選べば防犯効果が高いのか、自身で施工する場合の注意点などを分かりやすく解説していきます。

A3サイズ防犯フィルムの防犯効果とは

窓の防犯対策が犯罪者の攻撃に対して「5分」耐えることができれば、約7割の犯罪者が侵入を断念するとの調査結果から5分以上の侵入阻止が確認された製品を「防犯性能が高い」として警察庁、国土交通省、経済産業省と業界団体ではCPマークを付与しています。
つまり、A3サイズの防犯フィルムが侵入に5分抗うことができれば防犯効果があるといってよいでしょう。
では、早速結論をお話しすると「ある程度の防犯効果は期待できるが条件付き」が結論となります。ある程度とはどういうことでしょうか。
例えばガラス破りの手口の一つに「こじ破り」があります。これは鍵の周辺の窓ガラスとサッシの間に工具を差し込み、指が入る程度に破壊して開錠します。この手口であれば防犯フィルムを窓全面に施工していなくとも侵入を阻止できる可能性があります。

では「打ち破り」はどうでしょうか。これはバールやハンマーといった道具でガラスに強い衝撃を与え、破壊するという手口で、破壊した箇所から手を入れて開錠し、窓を開けて侵入します。防犯フィルムの箇所は簡単に見分けがつくので貼っていない箇所を選んで破壊し腕を奥まで突っ込めば鍵付近まで手が届くでしょう。当然ですが、破壊時に大きな音がします。人目を気にしない非常に乱暴な手口です。
一方、音がほとんどしない手口も存在します。「焼き破り」はバーナーなどでガラスをあぶり、その後急速に冷却させることでガラスを破壊する手口です。破壊の際の音はほとんどせず、防犯フィルムが貼られていない箇所を狙って穴を開けることができてしまいます。
さて、ここまでお読みいただくと貼っていない箇所が容易に特定でき、そこからの侵入を防げないのならA3サイズの防犯フィルムは「ある程度」どころか「全く防犯できない」という結論になりそうです。実はA3サイズの防犯フィルム”だけ”での窓の防犯効果はあまり期待できません。しかし冒頭書きました、ある条件、あるアイテムを追加で設置することで侵入にかかる時間を大幅に伸ばすことができます。そのアイテムが「補助錠」です。
Tips 防犯フィルムの耐熱温度
焼き破りの手口ではフィルムが溶けてしまうのでは?とのご質問をいただくことがあります。
3M社の防犯フィルムの基材であるPET(ポリエステル)の耐熱温度は200℃以上と高く、また室内側にフィルムは貼りますので炎などの熱源が直接影響しません。よって窓ガラス全面にフィルムが貼られていれば侵入に長時間抗うことができます。
補助錠と組み合わせる
補助錠はあとから追加して取り付けることのできる鍵です。(補助錠付の窓もあります)
前項で打ち破りという手口を紹介しました。バールやハンマーといった道具でガラスを破壊し、破壊した箇所から手を入れて開錠し、窓を開けて侵入します。この侵入の流れはこじ破りや焼き破りでも同じです。
つまり補助錠を設置することで犯人は補助錠の箇所のガラスも破り、開錠する必要がでてくるため、時間と手間が増し犯行を断念する確率が高まります。さらに複数の補助錠を設置する、補助錠の周りにも防犯フィルムを貼るなどすれば侵入されるリスクを大幅に低下させることができるでしょう。
ポイント
防犯フィルムは補助錠と組み合わせることで防犯効果を高めることができます。
防犯効果が期待できるフィルムの条件
さてここからは防犯フィルム自体について見ていきましょう。
商品を選ぶ際に注目するポイントは2つ、フィルムの厚さとサイズです。
ポイント1 フィルムの厚さ
まず、フィルムの厚さについては350㎛(マイクロメートル/またはミクロン)程度のものを選ぶようにしましょう。
これは施工におけるCPマーク認定機関である日本ウインドウ・フィルム工業会が施工後のフィルムにCPマークを貼り付ける条件の一つに掲げており、ガラス破りの際に使われるマイナスドライバー、ハンマー、バールといった工具による打撃貫通を防ぐために必要な厚みだとお考えください。
例えば3M社の防犯フィルムSH15CLAR-Aは391㎛、SH15CLAR-Aの上位モデルに位置づけられるULTRA S2200は417㎛です。

防犯フィルムと飛散防止フィルムでの打撃貫通への防御力が分かるバット実験
さてこのように書くと、フィルムは厚ければ厚いほど良いように感じてしまいます。しかし、厚すぎるフィルムは圧着不足による施工不良(フィルムの剥がれ等)が起こりやすい為おすすめできません。市販品には500㎛、600㎛といった商品もありますが、重要なことはフィルムがガラスにしっかりと接着し、打撃を受けてもフィルムからガラスが脱落しないことです。
スキージーなどの専用器具を用いて圧着させるプロの施工でも350㎛を超える厚いフィルムは3回以上圧着作業を繰り返します。DIYであってもスキージーはご用意いただき、必要以上に厚いフィルムを選ばない方がよいでしょう。
ポイント2 フィルムのサイズ
続いて2つ目のポイントはサイズです。これは防犯面での効果というよりDIYのしやすさという観点からです。
当然ですが、ロール状のフィルムをカットして窓ガラス全面に貼るような施工は難易度が高く、仕上がりや防犯性能の面でも不安です。
施工に不慣れな方であればA3サイズ程度の商品を選択されるのがよいでしょう。
DIYする際の防犯フィルムを選ぶポイント
・必要以上に厚くないもの(350㎛程度で十分。但し入念な圧着作業が必要)
・サイズがあまり大きくないもの(A3がDIYできる限界か)
・カットしなくて使えるもの(ある程度の厚みがあるのでカットしにくく仕上がりに問題が出る可能性)
DIY施工時のポイントと上手な貼り方
貼り付けに必要な道具
・水で薄めた中性洗剤(噴霧ボトルに入れておくと便利)
・ペーパータオル(繊維が脱落しやすいティッシュやタオルは×)
・スクレーパー(先端がヘラ状になった器具です。フィルム内側の水分を押し出すのに利用します)
・ゴムスキージー(フィルムの圧着作業で利用します。柄が短く力を入れやすい形状のものを選ぶと良いでしょう)
防犯フィルムを貼る位置
クレセント錠や補助錠の周りに貼り付けます。
貼り付け手順
1.貼り付け部分の窓ガラスを清掃します。
水で薄めた中性洗剤(噴霧ボトルに入れておくと便利です)を窓ガラスに吹きつけて清掃します。
水の拭き取りは繊維が脱落しづらいペーパータオルを利用すると便利です。
2.再び設置予定のガラス面に水溶液を噴霧します。
このあとのフィルム位置の微調整をしやすくするため少し多めに噴霧しておきます。
3.防犯フィルムから剥離紙を剥がします。
剥がした面(接着面)に水溶液を噴霧します。
4.クレセント錠背面に滑り込ませるようにフィルムを設置し、位置を微調整します。
5.フィルム表面に水溶液を吹きつけてスクレーパーでフィルム内側の水分を押し出すようにスライドさせます。
6.再びフィルム表面に水溶液を噴霧し、力を入れてゴムスキージーをスライドさせ圧着作業を行います。
この工程が不十分だとフィルムの剥がれの原因となります。
プロに任せる窓全面貼りのメリット

A3サイズの防犯フィルムであっても補助錠と組み合わせることで侵入に時間をかけさせ犯行を断念させる効果が期待できます。
しかしながら、本文でも触れましたように貼ってある箇所を避けてのガラス破りには無力です。警察庁では防犯フィルムは窓ガラス全面施工を推奨しており、施工におけるCPマーク認定機関である日本ウインドウ・フィルム工業会でもCPマーク付与条件として窓ガラス全面施工、さらに補助錠の設置の指定しています。
ガラス破りへの抵抗力が増す窓全面施工をDIYするのは難易度が高く、プロの業者に依頼するのが安心です。
当店では防犯フィルム施工技能者による施工で見た目も美しく仕上げます。また、当店取り扱いの3M社防犯フィルムには飛散防止、UVカット、遮熱機能、目隠し(のぞき防止)機能などの付加機能があり防犯と両立することができます。
たとえば遮熱防犯フィルムNANO80CPは厚さ363μmと厚い基材を使用し高い防犯性能が期待できます。同時に窓から入る日射を約35%カットし不快な暑さを防止する遮熱性能と紫外線を99%以上カットするUVカット機能を持っています。部分貼りのA3サイズでは冷房効果を高めたり、本の日焼けを防ぐことはできませんが、窓全面施工であれば防犯性能と両立することができます。
当店取扱3M社防犯フィルム
防犯フィルムは全部で5種類のラインアップがあります。ラインナップ全商品が防犯性能を有しており、さらに飛散防止機能とUVカット機能も持っております。防犯機能だけではなく、遮熱機能や目隠し機能を持った製品もありますので、お客様のお悩みに応じた最適な製品をお選びいただけます。
SH15CLAR-A
防犯性能と飛散防止機能、さらにUVカット機能を兼ね備えた防犯フィルムのスタンダード商品です。
ULTRA S2200
飛散防止機能とUVカット機能を持っており、SH15CLAR-Aの上位モデルに位置づけられています。フィルム全厚417μmと高い貫通防止機能を備えています。
NANO80CP
NANO80CPは、防犯対策だけでなく、遮熱対策にも対応できる商品です。冷房効果を高めるためにカーテンで日射を遮る必要はもうありません。透明なフィルムでありながら、窓から入る日射を約35%カットし、不快な暑さを防止します。また、日焼けの原因となる紫外線を99%以上カットする性能もあります。さらに、全シリーズ共通の飛散防止機能を備えています。
SH15SIAR-18
SH15SIAR-18はミラー調のフィルムで、防犯性能と高い遮熱性能を兼ね備えた商品です。高い日射反射率を持ち、冷房負荷低減効果においてはNANO80CPよりも優れています。ただし、光の透過率が低いため、室内が暗く感じる場合があります。日中は外部からの視線を遮り、プライバシーを守ります。一方、夜間はミラー調の反射効果によって空間の広がりを感じることができます。 ※夜間は暗い外から明るい室内が見え、目隠し効果がなくなりますので注意が必要です。(詳しいフィルムの特性はお問い合わせください)また、全シリーズ共通の飛散防止機能とUVカット機能も備えています。
SH15MACR-I
SH15MACR-Iは乳白色のフィルムで、防犯対策に加え、目隠し効果を重視する方に適しています。すりガラス調のデザインにより、穏やかに空間を遮りつつ室内のプライバシーを保護します。このフィルムも全シリーズ共通の飛散防止機能とUVカット機能を備えており、機能性とデザイン性を兼ね備えた商品です。
まとめ
窓は侵入犯罪のもっとも多い突破口であり、防犯対策において決して見過ごせないポイントです。
A3サイズの防犯フィルムは、こじ破りなど一部の手口に対して一定の効果を発揮し、補助錠と組み合わせることで防犯性能を高めることができます。価格も手ごろで、DIYで施工できるため、「今すぐ何か対策をしたい」という方にとっては有効な第一歩となるでしょう。
しかし一方で、貼られていない箇所を狙われるとA3サイズだけでは防御力が不十分なケースもあります。こうした場合には、やはり窓ガラス全面に防犯フィルムを貼り付けるプロの施工による対策が最も確実です。
また、当店が取り扱う3M社防犯フィルムは単なる防犯だけでなく、飛散防止・紫外線カット・遮熱・目隠し効果といった生活を快適にする機能も兼ね備えた製品です。防犯対策を強化しながら、日常の暮らしもより安全で快適なものにすることが可能です。
「費用を抑えつつ、できる範囲で防犯したい」方にはA3サイズ+補助錠のDIY対策を。
「確実に防犯性を高めたい」「後悔しない備えをしたい」方にはプロによる全面施工を。
それぞれのライフスタイルやご予算に合わせて、最適な選択をしていただければと思います。
防犯フィルムについて、施工について詳しいご案内ご希望の場合はフリーダイヤルまたはWEBフォームよりお気軽にお問い合わせください。